キャリア形成の地図(手順)を手に入れよう!/キャリア形成の6STEP

 キャリア形成を考える際に、いったいどのように取り組んでいけばいいのでしょうか?何から手をつけていけばいいのでしょうか?世間には、キャリアに関する様々な情報が渦巻いており、情報を集めれば集める程、よくわからない状況に陥ってしまうことがあります。
 新しい土地を旅をする際、皆さんは目的地に関する、地図やガイドブックを手に入れられることと思います。皆さんが、キャリア形成の旅をする際にも、全く同じことが言えるのです。キャリア形成の旅のための地図を、手元に用意しましょう。キャリア・コンサルタントは、皆さんのキャリア形成のお手伝いさせて頂く際、目的地へと辿りつくまで、この地図を念頭に入れて、適宜支援を行っていきます。皆さんが、キャリアの森で迷子にならないように、この地図で位地確認を行い、目的地までお供させて頂きます。

キャリア形成への地図(キャリア形成の6STEP)

 キャリア形成までの地図(STEP)とは、いったいどのようなものなのでしょうか?様々な地図(手順)が考案されております。その中でも、下記の地図(STEP)は、「キャリア・コンサルティング技法等に関する調査研究報告書の概要」(厚労省:平成13年5月7日報告)によって提示された、6STEPが代表的なものとなります。

  1. 自己理解 : 進路や職業・職務、キャリア形成に関して「自分自身」を理解する。
  2. 仕事理解 : 進路や職業・職務、キャリア・ルートの種類と内容を理解する。
  3. 啓発的経験 : 選択や意思決定の前に、体験してみる。
  4. キャリア選択に係る意思決定 : 相談の過程を経て、(選択肢の中から)選択する。
  5. 方策の実行 : 仕事、就職、進学、キャリア・ルートの選択、能力開発の方向など、意思決定したことを実行する。
  6. 仕事への適応 : それまでの検討内容を評価し、新しい職務等への適応を行う。

 上記の(1)から開始して、(6)へと進んでいきます。この6STEPも、スムーズに進む場合もありますが、そんなことは稀(まれ)であり、各STEP間を行きつ戻りつながら、目的地へと進んでいきます。
 

 また、厚労省報告にはありませんが、(1)の前段階として、「(0)キャリア形成への積極的自覚:キャリア形成が自分にとって必要であり、これから積極的に取り組んでいこうとする意志を持つ。」ことが必要となっていきます。特に独り旅の場合には、地図以外に、この旅に対する心構えも欠かせません。旅の準備(心構え・地図)を怠れば、目的地へ到着するまでに、大幅なロスが生まれてきます。旅の準備が整えば、いよいよキャリア形成の旅へと出発です。勿論、必要があれば、旅のお供として、専門家のキャリア・コンサルタントを活用するのもお勧めです。では、これから、地図(STEP手順)について簡単に解説していきましょう。

(1)自己理解

 文字通り、自分自身を理解していくためのステップです。相手(仕事)理解より、まず自分を理解することから、初めていきます。「自己理解」が進むと、それが自分の判断基準となるため、キャリア形成だけではなく、他の重要なことを決定する際にも、ブレや迷いが少なくなっていきます。STEP5まで順調に進んでいたとしても、ここで「何となくしっくりしない、何か違うような気がする」ということが起こる場合があります。この場合には、そのまま無理やり進むのではなく、再度、「自己理解」のSTEPへと逆戻りし、自己の判断基準をより明確にしていくことをやり直して、より良い選択ができるようにしていきます。

 「自己理解」を進めていくためには、いろんな観点(切り口)から、自分の経験を「棚卸し」していく必要があります。「自己理解」の切り口としては、興味(好き・嫌い)、能力(できる・できない)、価値観(大切・そうでもない)、環境(自己の置かれた状況、環境への希望)等があります。長所だけでなく、短所も検討していきます。「自分は何が好きで、何ができて、何が大切で、どんな状況におり、どうしたいのか?」を、自分の経験に基づき深く堀り下げていきます。時には取り組んだ結果を他人と共有、比較することにより、更なる自己の特性が浮かびあがってくる場合もあります。また、給与や休日等、自分の望む条件についても、優先順位をつけ、明確にしておくと良いでしょう。

 「自己理解」は、自分独り取り組むことのほかに、適正検査を受ける方法も、「自己理解」促進に役立ちます。ネットを検索すると、様々な適正検査が用意されており、無料のものも多くあります。有料とはなりますが、R-CAP(株リアセック)CPS-J(株日本マンパワー)も有用です。有料ですので、それに見合った客観的な「自己理解」(分析)に加えて、(2)の「仕事理解」の内容も含まれているため、お得です。また、厚労省の自己診断ツール(無料)により、診断されることもお勧めです。ここで「自己理解」にじっくり取り組んでおくと、この後のSTEPについても、スムーズに進むことができるようになります。

(2)仕事理解

 自分自身を理解した後に、相手(仕事)を理解しいていくステップです。「自分の特性を活かせる相手(仕事)は、誰(何)になるのか?」を、逆を言えば、「その相手(仕事)が必要とするのは、誰(何)なのか?」ということを検討していきます。「自己理解」で得た、「興味、能力、価値観、環境」が、相手(仕事)の必要としているものに多く合致していれば、それだけ相手(仕事)とは相思相愛になる可能性が高くなります。逆に、合致が少ない場合には、片思いになる可能性が高くなります。しかし、相手(仕事)を理解することにより、「自分がそれにどう対処していけばいいのか?」が検討でき、対策を立てることができるようになります。相手(仕事)によっては、資格やスキルが必要な場合があります。

 また、自分の特性との合致以外に、自分の望む条件(給与、休日、社風等)の情報についても、収集を怠らないようにしましょう。いろんなデータ・ベースを活用して、相手(仕事)の情報収集を行いましょう。

(3)啓発的経験

 (1)、(2)で検討してきたことを、実体験で確認していくステップです。相手(仕事)理解の後、自分に合う(望む)職種や業界、企業が特定できれば、今度は実際にそれで良かったのか、体感してみます。業界や企業の説明会、職業体験(インターンシップ・職業訓練)などを活用して、実体験してみましょう。イメージしていたものと違わないか、職場の雰囲気はどうか、実際の労働条件はどうか、実体験でしか得られないものもあり、仕事を決定する際の参考になります。

(4)キャリア選択に係る意思決定

 (1)~(3)で、検討してきた中で、仕事(業界・企業)を絞り込み、やるべきことを決定していくステップです。自分のやりたいこと、適正、望む条件等を、比較検討、吟味していきます。仕事や企業2~3個に絞り、その選択肢の中から、メリット、デメリットなどを検討し、決定していきましょう。

(5)方策の実行

 (1)~(4)で決定したことを、実行するステップです。必要な資格やスキルの取得、円とシート、履歴書等必要書類の作成、企業への応募などが、これに当たります。

(6)仕事への適応

 実際に仕事に就いて、それを深化、進化、発展させていくステップです。また、問題があれば、必要に応じて(1)から再度、検討しなおしていきます。

まとめ(キャリア形成の6STEP)

 自分が、どのステップにいるのかを、この地図(手順)で確認しながら、キャリア形成を進めていきましょう。しっくり、いかない場合には、前のステップに戻ることをお勧めします。「独りで進めるのは不安」という方については、キャリア形成の専門家である、キャリア・コンサルタント(国家資格)に相談してみると良いでしょう。

 次回から、「自己理解(自己分析)」に関する、様々な方法をシェアしていきます。

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